トマスによる福音書の読書感想文

 まず、本の説明

出版社/著者からの内容紹介

1945年、エジプトで写本が発見され、「新発見の福音書」として世界にセンセーションをまきおこした。〈トマスによる福音書〉―異端として排斥されたグノーシス派の立場から編まれた114のイエスの語録集である。新約聖書学・グノーシス主義研究の世界的権威がその語録を精緻に注解し、独自の福音書を明らかにした本書は、従来の「正典福音書」のイエス像を一変させることを迫る衝撃の書である。
私は、キリスト教や、聖書、グノーシス派などを全く知らないので、キリスト教の背景は一切無視して純粋に書かれている事だけを読みました。
この本で面白いのは、聖書の文と比較されている事。
そして単純に文を比較すると当然のようにどれが本物か?
本物というより、どれが一番自然であるか…
浮かび上がって来るようです。
例えば、イエス語録の8
トマスバージョン
そして、彼が言った、「人間はその網を海に投じた賢い漁夫のようなものである。彼はそれを小魚で満たして、海から引き上げた。それらの中に彼は、一匹の大きな良い魚を見出した。つまり、賢い漁夫がである。彼は小魚を全部海に投じた。彼は大きな魚を選び出して、苦労するところがなかった。聞く耳ある者は聞くがよい」
マタイバージョン
13
47また天国は、海におろして、あらゆる種類の魚を囲み入れる網のようなものである。
48それが一杯になると岸へ引き上げ、そして坐って、良いものを器に入れ、悪いものを外へ捨てるのである。
クレメンスバージョン
天国は網を海に投じた人間のようなものである。彼はたくさんの魚の中から最も良いものを選び出した。
いかがですか?
このほかにも、「ほほーう!」とうなづけるキリストの言葉が盛りだくさん。
聖書を知らなくても楽しめる内容ですよ。
私のお気に入りのフレーズを最後に1つ。
イエスが言った、「あなたの目の前にあるものを知りなさい。そうすれば、あなたに隠されているものはあなたに現されるであろう。なぜなら、隠されているもので、あらわにならないものはないからである」